コラム・家庭血圧
家庭血圧
近年、家庭血圧計が普及し、白衣高血圧(家庭では正常血圧で診察室で血圧が高い)、早朝高血圧(早朝に一過性に血圧が高い)、夜間高血圧(日中には血圧が正常で夜間のみ血圧が高い)などの多くの情報が得られ、また降圧薬療法における理想的な血圧コントロールが可能となってきました。今回は最近重要視されている家庭での血圧測定についてふれてみたいと思います。
測定装置・部位
- 上腕用の血圧計を用いる。(手首、指用の血圧計の使用は避ける)
- 腕帯は柔軟腕帯が望ましい。(標準体格の方は硬性腕帯でもよい。)
- 測定座位でカフが心臓の高さになるようにし、腕は伸ばした状態で上腕の筋肉の緊張をとくため、 前腕を机やテーブルの上に置き、必要ならば枕などの支持を用いる。
- 極端に太い腕、細い腕の方はそれぞれ大型カフ、小型カフの使用が望ましい。
- 原則的に利き腕の対側を用いるが、左右差の明らかな場合は常に高くでる側の血圧測定をすすめる。
測定条件
朝の血圧測定条件—– 起床後1時間以内、排尿後、座位1~2分間の安静、降圧薬服用前、朝食前
晩の血圧測定条件—– 就寝前、座位1~2分の安静、(入浴後、飲酒後の場合は一般に血圧が低くなることを認識しておく。)夕食前、晩服薬前の血圧は薬効評価上重要である。
測定回数、測定期間、記録
- 朝晩それぞれ少なくとも1回は測定する。 (同じ時に連続して測定すると1回目より2回目、2回目より3回目が低くでることが多いが、1回目の測定値をそのときの値とする。ただし、複数回測定した場合はその値をすべて記録しておくことが望ましい。)
- できるだけ長期間測定する。
- 降圧薬を服用していない時(無治療)には少なくとも週5日測定する。
- 血圧安定期には少なくとも週3日測定する。
- 薬剤変更時には少なくとも週5日測定する。
- すべての血圧の測定値は測定時刻、心拍数とともに記録されることが望ましい。
評価
- 家庭血圧は125/80mmHg未満を正常とし、125/75mmHg未満を正常血圧と判定する。
- 家庭血圧は135/85mmHg以上をもって高血圧と診断する。