白衣高血圧

白衣高血圧

今回のコラム欄では家庭での血圧は正常で外来時の血圧だけが高い“白衣高血圧”について触れてみたいと思います。

a. 定義・診断

・白衣高血圧とは家庭血圧で正常血圧にもかかわらず、外来血圧が高血圧をしめす病態をいいます。はっきりした定義はありませんが、外来血圧140/90mmHg以上で、家庭での血圧が135/85mmHg未満とされていることが多いようです。(家庭血圧の正常値は125/80mmHg未満としており、この基準からすると白衣高血圧は外来血圧140/90mmHg以上で家庭血圧125/80mmHg未満ということになりますが)ただし、外来で高血圧を指摘され、数回家庭で血圧測定し、正常であったので私は白衣高血圧と思ってしまうのは危険です。外来以外のどこかの時点で高血圧があれば白衣高血圧にはなりませんので、いろいろは時間帯で血圧を繰り返して測ってみることが大切です。正確に家庭での血圧が正常と診断するには24時間の血圧を自動的に測定する器械で検査する必要があります。
白衣現象という言葉もありますが、白衣現象とは高血圧の有無にかかわらず、診察室以外の血圧が診察室での血圧測定時に上昇する現象をいいます。しかし、何mmHgの上昇をもって白衣現象とするのか厳密な定義は定められていません。白衣現象はストレスに対する一種の過剰反応をみており、正常血圧患者、白衣高血圧患者、持続性高血圧患者のいずれにもみられます。

b. 臨床的意義・治療

・外来高血圧患者の約10~30%にみられ、女性、高齢者、非喫煙者、アルコール摂取者や睡眠時無呼吸症候群患者に多く見られるとされています。喫煙者は白衣現象がおこりにくく、白衣高血圧が少ないとされています。白衣高血圧が脳卒中や心筋梗塞の危険因子になるかどうかは賛否両論がありますが、危険は少ないとされ、積極的な治療の必要はないとされています。しかし、すでに心臓肥大や腎機能障害などを持っておられる方は治療した方が良いでしょう。また、白衣高血圧は高血圧の予備軍である可能性も報告されていますので、血圧の薬を飲む必要がなくても、減塩食、体重コントロール、禁煙等の生活習慣の修正は必要です。また、ごく最近、白衣高血圧の方を長期間経過をみていくと5?6年間は正常血圧の方と同程度の脳卒中の危険性ですが、その後は持続性の高血圧の方の脳卒中の危険性に近づいてくるという報告もありますので、定期的なチェックは受ける必要があります。